フィリピンの「管理組合・管理会社」の実態
こんにちは、インターン生の栗原です。
前回の「管理費・修繕費積立金等」に続き、今回はフィリピンの「管理組合・管理会社」についてお話ししたいと思います。
フィリピンの管理組合・管理会社について
フィリピンでの「マンションの管理」は主に「大手デベロッパーの子会社」、”Subsidiary”と呼ばれるところが管理をします。例えば、「Ayala Land」により建てられた建物は、その子会社、「Ayala Property Management Office (APMO)」により通常管理されます。
例えば、「Century Properties」の子会社、「Century Properties Management, Inc.」は現在47棟の管理を行っていて、他の建設業者やデベロッパーにより建てられたコンドミニアムの管理も行ってます。また住宅用のみならず、商業目的としてホテルやレストランなどの物件管理も、アジアの幅広い地域で行ってます。
また、フィリピンで管理組合を形成するには先ず、国営の「HLURB (Housing and Land Use Regulatory Board)」に申請をし、審査に通らなければなりません。
コンドミニアムの管理組合
コンドミニアムの場合、管理組合『Homeowner`s Association』の元に『Property Management Office』、略して「PMO」というものが建物の中に設けられて、基本的なビルの管理を行っています。
PMOを担う管理会社は先ほどで述べたように、基本その子会社”Subsidiary”ですが、「Century Properties」のビルのように第三者の管理会社を雇えるところもあります。「PMO」の具体的な責任者・「管理会社」を決定するのは『Homeowner`s Association』のメンバーであり、住民たちの権利です。つまり「Century Properties」によって建てられたビルは、自動的にその子会社である「Century Properties Management, Inc. (CPMI)」によって管理される訳ではありません。
因みに日本でいう理事会は『Board of Directors』又『[Trustees』と呼ばれています。このように管理組合のメンバーで形成されてる理事会で審議され決められたルールはその住民たちが住む地域で行使されます。
フィリピンでは『Homeowner`s Association』と呼ばれる管理組合が様々な地域で存在しており、住宅地などでは特にこのような『管理組合』がたくさんあります。
管理組合(Homeowner`s Association)の具体的な機能
例えば、下記の”NO STICKER NO ENTRY”はフィリピンの住宅地などでよく見られるルールです。要するにこれは、車両に組合が発行するステッカーが貼られていないと、”その敷地内への車の通行が出来ませんよ”という事です。このような規定をを設ける事で住民の安全を守る事ができ、不審な車の行き来を防ぐ事が可能です。ただ毎年このような”ステッカー”を買って車に貼らないといけない事から、住民からの苦情も少なくないです。ステッカーが車に貼られていない場合は、”運転免許証”又は”政府認定の身分証明書”(ID)を検問所で一時的に預け、その場で訪問先に連絡をし、入場の了承が得られれば通行が許可されます。
フィリピンの管理会社
「Century Properties Management, Inc. (CPMI)」
1989年に設立されたフィリピンで一番大きい管理会社です。約47棟ものビルをフィリピン中で管理しており、他のディベロッパーの建物も管理しています。物件管理の国際基準をフィリピン国内で初めて採用したのもこちらの管理会社です。人材の育成に力を注いでおり、開発の専門家を育成しています。プロパティーマネジメントのみならず、物件の価値を上げる為にインフラ開発にも「CPMI」は携わっています。
また「Century Properties Management, Inc. (CPMI)」の親会社である「Century Properties」が手がけた「Grand Soho Makati」の物件も当社では扱っております。こちらが現在その物件の様子です。
「SMDC Property Management」
フィリピンでは”知らない人はいない”あの「ヘンリー・シー」が理事長を務める大手開発業者の子会社です。1958年にフィリピンで初のシューマート「SHOE MART 略して(SM)」が誕生日した時、これを今の規模にまで育て上げたのが「ヘンリー・シー」です。
「SMDC」は「SM Investment Corporation」という財閥の子会社です。小売業界ではトップでありながら、不動産業、銀行業や観光業にも参入しており、「SM」はもはやフィリピン人の生活の一部になっていると言っても過言ではないです。
中間層をターゲットに、”お手頃価格で夢のコンドミニアム生活が送れる”をモットーにしていた「SMDC」ですが、近年「SM Aura Premier」の建設などで見られるように、高所得者層にもターゲットを広げている様子が見受けられます。
更に教育分野では、1980年代フィリピンのIT業界の発展に伴い専門学校が普及しました。ITの分野で高い技術を持った人の需要が増える事を見込んだ「SM」は、「IBM Philippines」と共同で高い知識を持ったフィリピン人のIT技術者を育てる為に、1999年にマカティーで「Asia Pacific College」を「IBM Philippines」と共同で立ち上げました。
「Ayala Land Property Management」
「Ayala Land Property Management」は数々の高級コンドミニアムを扱っており、「Ayala Land」という大手開発業者の子会社です。39年間という長い歴史もあり、ハイエンドで最高仕様のサービスを提供している会社です。タギグ市とマカティー市を拠点に、富裕層を中心として業績を伸ばし続けています。駐車券の自動化や家庭から出る排水のリサイクルする技術の応用など、ハイクラスで存在感のあるデベロッパー・管理会社です。
蒸留酒製造所から始まり、19世紀後半にはマニラにあるアヤラ橋の建設にも参加し、これが後にフィリピンで最初の鉄製の橋として1908年に完成されます。
フィリピンのビジネスの中心として発展したマカティー市の開発にもアヤラは大きく貢献しています。今では日本の三菱と共同で再生可能エネルギーの事業にも参入しており、その活動分野を広げています。